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希望の国のエクソダス[文藝春秋]
あとがきに「今すぐでもできる教育改革とはなにか?」というのことをファンが運営しているサイトで村上さんは問うたようで、答えはやはりでなかったと書いてある。もちろん答えはこの本になるのだが、果たして今の中学生にそれだけの度胸があるのだろうか。こう書いてしまうと世代による価値観の差で見ていると言われてしまうが、冷め切った精神はなにも今の子達から始まったものではない。この世代の人たちと直接会話する機会が少なくなってしまったが、ここまで考えている子どもがいないとも言い切れないのが現実なんだろう。これだけの情報が波瀾して小学生までもが情報端末を所有している。自分たちの考えが正しい道だと気付き行動に移すエクソダス(子供達)は本当に現れるかもしれない。
それにしてもこの考え方はとてつもない想像力がなければ書けない。小説と言うよりは学説に近い。「作家ならまず作品で訴えるべきだし、・・・」と書かれているのだが正にこれを自らやっている。それでいて只の傍観者が高みの見物しているかのようにスラスラ読めてしまったから終わった時には何とも言えない達成感があった。
強いて注文をつけるなら、「ナマムギ」がASUNARAによってインタビューされるところ(聞き手にはもちろんぽんちゃん)は欲しかった(でもそれやっちゃうとCOOLさがなくなるでしょうね)。
希望の国エクソダス取材ノート [文藝春秋]
小説「希望の国エクソダス」を執筆するにあたってインタビュー取材したことをまとめたモノだ。この中には小説のアイデアが入っている。というかほとんどその分野の識者から聞いたことをまるまる小説として書いているのがよく分かる一冊なのだ。
データ抽出の回復方法あの金で何が買えたか(文庫改訂版)[角川文庫]
あれだけの金が動いたのに未だに世の中は良くなる気配すら見あたらない。我々はあの金でいったい何を買ってしまったのだろうか。みんないい加減気づかなくてはいけないし、無関心ではいられない。そしてあの金がまた動こうとしている。本当に使われる前に国民全員が見据えなくてはいけない時が今度こそ来ている。
後付:
できれば「おつり」の総額でハンバーガーが何個買えるか書いて欲しかった。その総数でいったいどれくらいの人が餓死せずに済むのだろう。と思い計算してみました。
合計金額は39589.897億円(3兆9589億8970万円)。約4兆円。
ハンバーガーが百円だと仮定したら約四百億個。
はぁ〜。計算しなきゃ良かったです(泣)。
イン・ザ・ミソスープ[読売新聞社]
最初は歌舞伎町の観光案内の本だと思った。これだけ多くの風俗を紹介するとなんだか『トゥナイト』の監督コーナーを見ているようだ(現にそのような行がでてくる)。しかしそれだけなら第二部冒頭の女子高生殺人事件の話はいらなくなる。
あとがきにこれが読売新聞の夕刊に連載されていたのだと知り、驚いた。丁度この頃に「神戸」の事件が起こっていたのにも驚いた。ここまで殺戮を繰り返す人間の心理を想像だけで書けるのには並大抵の脳みそでは答えが出せない筈だ。またこの人の凄さを知ってしまった作品になりそうだ。
そして三十五歳ぐらいの白人男性を見ると「フランクだ」と思いこむ妄想に俺は果たして勝てるのだろうか(笑)。つくづく考えてしまう。
最後の家族[幻冬舎]
実はドラマの原作とは知らずに読んでいた。現代社会の家族像というのを垣間見たような作品。最後の方がすんなり決まってしまったので今回はちょっとガッカリでした(と言うか、たまにはこうでなきゃいけないと思ったんですかねぇ)。
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